彼とは牛たん屋さんで知り合いました

彼とは牛たん屋さんで知り合いました

牛タン屋で始まるロマンス、とはいかがなものだろうか。

『友達と旅先で訪れた牛タン屋さん。働いていた彼に一目惚れ。お会計の時にこっそりアドレスを渡して、交際が始まったの。そんな私たちも来春ゴールイン』

…てな感じだろうか。うーん、つまらんな。

『私は牛タンが大好物。趣味は週末ごとの牛タン屋さん巡り。そんな時、ふと気づいたの。いろんなお店で、何度も同じ人とかち合うって…。向こうも私に気づいていたみたい。思い切って話しかけてみたら、彼も牛タンが大好きなことが分かったわ。今度、一緒に行こうって…何だか恋の予感』

まあナシではない。

しかし、牛タン屋、牛丼屋、牛鍋屋、牛肉屋、牛乳屋…。

頭に『牛』とつく場所は、あまりロマンスの舞台にならない気がする。少なくとも、肉屋の前で買い物かごを提げて、

「牛コマ200グラム…(ドン)あっ、ごめんなさい」

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「いえいえ、私は何も。お夕飯の買い物ですか?お料理上手な奥様で、旦那さんが羨ましいな。男やもめは侘しくて」

てな具合に良い男と出会うという設定のハーレクイーン小説はないだろう。

なぜ『牛』はロマンスと結びつかないのか。



『牛』と名のつく場所に行くとき、人は食欲に支配されている。出会いを求めて牛丼屋に行く人はいないだろう。牛肉を思う存分味わい、空腹を満たすために行くのだ。そしてお互いにそれをわかっているから、牛との逢瀬を邪魔するような野暮な真似はしないのである。



美味しいものを食べてロマンスもゲットできればそれは結構なことだが、別にロマンスなどなくても良い。素晴らしい牛に出会えれば、それで十分なのである。